職人の加工跡がのこる庵治の石端材『コッパ』

石の端材

石製品を製造する過程で生まれる端材を、そのまま一点物の素材として商品化。意図せず生まれた形状にエンドユーザー自身が機能や価値を見出し、新しいストーリーを与えるメタデザインな素材です。


素材としての価値を失いかけた石が、
新たなストーリーを紡ぎ始める

庵治石の採掘で有名な香川県高松市の牟礼町・庵治町。
石の街・職人の街であるこのエリアは『庵治産地』と呼ばれ、石工たちの工場や工房が建ち並び、路傍には庵治石の原石が高く積まれているという独特の光景を目にすることができます。
加工工場に脚を踏み入れると、石工たちと石材が工場を行き来する片隅に、不思議な形に加工された石がまとめられている事に気がつきます。それらは『コッパ』と呼ばれる製造工程で出る端材です。

端材の魅力

石は天然に存在し、環境負荷の少ない素材です。しかしその一方で、成形加工のない「石」という素材を用いてものづくりをする際には、少なくない量の「製品化されない石」が生まれます。そのことを誰よりもよく知っているが故に、産地の石工たちは一塊の石から出来るだけムダが出ないよう石を加工していきます。その結果、不規則で個性的な形の端材が生まれるのです。
それらを見ていると、時に、何かに使えそうなものや佇まいの良いものに出会うことがあります。私たちはそこにユニークな価値を見出してくれるエンドユーザーがいるのでは?と考えました。

社会的問題を解決するためのデザイン

石工たちによって限界まで使い切られ、素材としてのストーリーを終えようとしている石の端材に、ユーザー自身が素材としてオリジナルの価値や機能を見出すという行為は、ユーザーのライフスタイルに働きかける消費活動であるだけでなく、石材のリデュースや石工への経済的な支援という社会的な問題を解決するクリエイティブなアプローチにもなり得ます。
『コッパ』は、様々なクリエイトの素材になるだけでなく、「端材」を「素材」に生まれ変わらせるためのメタデザインのためのキーアイテムでもあるのです。

石種

殆どが庵治石(花崗岩)ですが、一部他の石種もあります。

形状・サイズ

端材のため、一つ一つ異なります。

カラー

庵治石:グレー・ブラウン
庵治石は青みがかったグレーで、目の細かい「細目(こまめ)」と、石目が少し大きく、明るいグレーの「中目(ちゅうめ)」、そして石に含まれる鉄分が酸化した茶系の「サビ石」に大別されます。サビ石は特に個体差が大きく、グレーに近いもの、グレーと二層になっているものもあります。

テクスチャ

鏡面のように研磨された面や、加工によって構成された面、マット仕上げの面、切削面、天然の節理面、割られた面などが一部あるいは全体に施されています。

庵治石の特徴

主要な成分は石英・長石・黒雲母。花崗岩の中でも硬度は高めで、モース硬度(※)は水晶と同程度の7。従って鉄製の工具では加工することができません。また構成する鉱物の結晶が小さく強く結合しているため、欠けにくく、吸水率も低いのも特徴です。
※鉱物に対する硬度の尺度。1〜10の整数値で定める (10が一番硬い)